濃紺×ウールの服と聞けばPコートやセーラーシャツをイメージする方も多いのではないでしょうか? 服飾におけるネイビーの起源をさかのぼると18世紀のイギリス海軍に行き着きます。当時、大英帝国は7つの海を制し栄華を極めていました。その頃、同海軍の将校らが着用していたのが濃紺の軍服。そこから他国にネイビーの制服が広まりました。19世紀になると産業革命が起こり毛織物が一般に普及し優れた耐久性を持つウールは軍服に採用。そこでネイビーとウールが交わりました。そんな歴史を思い起こさせるのが丸和ニットのWAK.ネイビーです。
丸和ニットはバランサーキュラーという世界に類を見ない改造編み機で、ニットに1920本の超極細ナイロン糸を通し、織物のような整った表情に、編み物の伸縮性、形態安定性を併せ持つ生地を作るユニークなニッターです。和歌山大莫小では洗えるウール「ウーラブル」が人気ですが、今回はメリノウールの機能性を高めた生地を用意しました。
前回はウール表面にあるスケール(髪の毛でいうキューティクル)を落とすことで、スケールが絡み合うフェルト化を抑えて洗濯を可能にしましたが、今回は正反対のアプローチ。スケールを残してフェルト化させる圧縮加工を施し、中空効果による保温性とウールが持つ吸湿発熱効果を向上させました。地肌に直接触れていると、蒸気が液体に変わる時に放出する凝縮熱によって抜群の暖かさを生み出します。
通常、ウールは圧縮加工すると生地が厚くなり自重でダレてしまうのですが、バランサーキュラーの妙技によって軽さと適度なハリ&オチ感を実現。またポリエステルの混紡糸を用いることで手洗いも可能にしています。アウターとして羽織るのはもちろん、薄いので中にも着込め、使いまわしの広さは今回随一。アウトドアのソフトシェルやカーディガン的に扱えます。そういえばカーディガンも、傷ついた兵士が素早く着られるように考案されたイギリスの軍服だったそう。WAK.ネイビーもウールの力で現代に生きる私たちを暖かく守ってくれるでしょう。